主要穀類および農耕地土壌の
90Sr と137Cs 分析データ一般公開システム

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構   農業環境変動研究センター

農業環境変動研究センターでは、1959年から都道府県や農研機構に所属する農業関係の試験研究機関の協力のもとに、主要国産作物である米麦およびその栽培土壌の90Sr と137Cs濃度を分析してきました。ここに、農耕地土壌と作物の安全性に関する情報の一つとして、放射性核種の平均値の経年変化等を見ることができるように、 1959年から2013年までのデータを公開いたします注1)注2)注3)注4)。本調査は現在でも継続しており、順次新しいデータを附加していく予定です。

なお、この調査は原子力規制委員会(2011年以前は文部科学省)が農林水産省に委託した放射能調査研究費によって行われました。

注1);米麦の137Csの放射能濃度を表したグラフでは、一般食品(穀類を含む)の基準値(平成24年4月1日適用)を点線で示して、分析値との比較ができるようにしてあります。同様に米麦の90Srの放射能濃度を表したグラフでは、コーデックス委員会(国連食糧農業機関 = FAO と世界保健機関 = WHO が設立した食品規格委員会)のガイドライン値を点線で示しています。

注2);2014年3月21日に2011年、2012年のデータを追加しました。この際、2010年のデータの一部は試料調整中に受けた東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を差し引いて再計算しました。

注3);2016年1月13日に2013年のデータを追加し、「用語について」の表記を一部改訂しました。

注4);1959年~2000年までの分析データおよび解析結果については、
1)農業環境技術研究所報告、第24号、p1.-p.21(2006)
2)農業環境技術研究所資料、第28号、p1.-p.56(2005)(英文)
に発表しています。

試料の採取は、下の地点(都道府県)から行い、それぞれを日本海側と太平洋側のデータとして整理しています。2010年時点で採取を行っている地点は、表に赤太字で示しています。なお、北海道については、日本海側のデータとして扱っています。

No. 都道府県
1 北海道
2 秋田
3 新潟
4 石川
5 鳥取
6 福岡
7 岩手
8 宮城
9 茨城
10 埼玉
11 東京
12 山梨
13 三重
14 大阪
15 岡山
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本システムで使用する主な用語について説明します。

90Sr
ストロンチウム90(90Sr)は主要な人工放射性核種の1つで、核分裂の際に生成され、137Csと同様に1960年代前半をピークとする大気圈核実験時やチェルノブイリ発電所の事故時に環境中に放出されました。放射能量が半分になる時間(物理的半減期)は29年です。放射性ストロンチウムの他の主要核種として89Srがありますが、物理的半減期が51日と90Srに比べて短く、現在環境中にはほとんど存在していません。ストロンチウムはカルシウムと同じアルカリ土類金属で、骨に集積する性質があります。
137Cs
セシウム137(137Cs)は主要な人工放射性核種の1つで、核分裂の際に生成され、90Srと同様に1960年代前半をピークとする大気圈核実験時やチェルノブイリ発電所の事故時に環境中に放出されました。東京電力福島第一発電所事故でも、深刻な汚染を引き起こしています。放射能量が半分になる時間(物理的半減期)は30年です。放射性セシウムの他の主要核種として、物理的半減期が2年と137Csに比べて短い134Csがあります。東京電力福島第一発電所の事故当初は137Csとほぼ同じ濃度でした。2016年1月現在でも事故の影響を受けた地域で検出されていますが、濃度は137Csの1/5以下であり、年々その比率は低下しています。セシウムは、カリウムと同じアルカリ金属です。
Bq/kg
物質の単位質量当たりの放射能の強さを表す単位(放射能強度または放射能濃度)で、放射性物質1kg が1秒間に崩壊する個数を表します。Bqはベクレルと呼びます。mBq/kgはBq/kgの1/1000の強さで、1 Bq/kg = 1000 mBq/kg です。崩壊に伴い、90Srではベータ(β)線、137Csではガンマ(γ)線とベータ(β)線等の放射線が発生します。
90Srのガイドライン値
2012年4月から適用された一般食品の放射性セシウムの基準値100Bq/kgは、90Sr、プルトニウム、106Ruの影響も含めて内部被曝量が0.9mSv/年を超えないように設定されていますが、独立した基準値は国内では定められていません。本システムで示したのは、コーデックス委員会(国連食糧農業機関=FAOと世界保健機関=WHOが設立した食品規格委員会)が2004年に提唱したものです。この中では、90Sr、106Ru、129I、131I、235Uを一群として、その合量でガイドライン値を100 Bq/kgと定めています。90Sr以外の核種は平常時における食品中の放射性核種としては90Srよりさらに大幅に低濃度です。
一般食品の137Csの基準値
137Csについては、2012年4月から適用された一般食品の基準値100Bq/kgを記入しました。それまでは、穀類の暫定規制値500Bq/kgや輸入食品中の放射能暫定限度値370Bq/kgが用いられていました。
作土
土壌の表層で、耕うんや有機物・肥料の施用により、土壌改良されてぼう軟になっている部分のこと。作物の根は、作土に集中して分布するので、養分やミネラルは大部分が作土から吸収されます。
置換態90Sr
置換態137Cs同様に土壌から1M酢酸アンモニウム溶液により浸出される90Srのこと。作物が吸収する90Srの量と関連が深いと考えられます。「置換態」の替わりに「交換態」が用いられることもあります。これに対し、全90Srは、土壌に含まれる90Srの全量を分析したものです。
置換態137Cs
置換態90Sr同様に土壌から1M酢酸アンモニウム溶液により浸出される137Csのこと。作物が吸収する137Csの量と関連が深いと考えられます。「置換態」の替わりに「交換態」が用いられることもあります。これに対し、全137Csは、土壌に含まれる137Csの全量を分析したものです。
本システムにおける推定値
本システムにおいて1959年及び1963~1965年の玄麦データは欠損を生じたため、周辺年の小麦栽培期間中の137Cs降下量と玄麦の137Cs濃度のデータから作成した式により、推定しました。また水田の全90Srは、置換態90Srから、水田及び畑の置換態137Csは、全137Csから推定を行ったものがそれぞれ多数あります。これらの推定値を表では赤で示しています。
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